【大気汚染・水質汚染が子どもに与える深刻なリスク】
パキスタン、特にラホール近郊ではPM2.5による大気汚染が極めて深刻です 。調査対象となった住民の多くは、この汚染が子どもたちの肺疾患リスクを劇的に高めていると認識しています。成長過程にある子どもの呼吸器系は成人よりも脆弱であり、汚染された空気を吸い続けることは、喘息や慢性的な咳を引き起こすだけでなく、将来的な肺機能の低下を招く大きな懸念材料となっています 。また、安全な飲料水が確保されていない地域では、不衛生な水が子どもたちの免疫力を低下させ、結果として呼吸器感染症を悪化させる一因にもなっています 。
【家庭内における受動喫煙の影響と認識】
今回の調査では、屋外の公害だけでなく、家庭内での「喫煙」が子どもに与えるリスクについても注視しています。大人が吸うタバコの副流煙は、限られた生活空間の中で子どもの肺に深刻なダメージを与えます。住民の意識調査からは、喫煙と肺疾患の関連性は理解されているものの、子どものいる空間での具体的な禁煙対策や行動の改善には、まだ多くの課題が残されていることが浮き彫りになりました。
【「誰一人取り残さない」健康と教育の保障に向けて】
本調査の結果は、子どもたちが健康に育ち、教育を受ける権利を守るためには、医療的な支援だけでなく、学校や地域社会を通じた「環境教育」が不可欠であることを示しています 。特に障害のある子どもや、社会経済的に困難な状況にある家庭の子どもたちは、環境悪化の影響をより直接的に受けやすい傾向にあります 。
【本案件における研究】
今後は、これらの環境リスクを軽減するための調査・支援を継続するとともに、保護者や地域住民が「子どもの健康を守るための環境認識」を深めていけるよう、実践的な研究と啓発活動を両輪で進めていくことが重要です 。
そこで、科研費(国際共同研究加速基金(海外連携研究))パキスタンにおける脆弱層にある子どもの就学を保障する学校安全に関する実証研究(2024年度~2027年度)と合わせて、パキスタン北部のKP州のAbbottabad、Mansehraにおいて調査を実施しています。同調査の詳細については、こちらをご覧ください。