2026年5月11日月曜日

障害児の親の会「カールワーン」の活動⑭:国際デー、記念日を通した啓発イベント

  パキスタンのKP州Haripurに拠点を置く、障害児の親の会Karwaanは、2026年の母の日のイベント開催を通して、障害問題の啓発、障害のある子どもたちの集う機会づくり、に取り組みました。母の日のような記念日や、国際デーはその動機づくりにもなります。イベント開催のための寄付金集めのための寄付者への説明の容易さ、イベントに関する人々の関心の高めやすさなど、利点があります。

インクルーシブ教育を促進することで、障害のある子どもたちだけの集う場所や機会は少なくなります。他方で、Karwaanメンバーである障害児の母親たちへの聞き取り調査によれば、そのような集いの場所や機会は必要という語りがありました。








ケニア・マサイにおける思春期女子の月経衛生管理(MHM)に関するフィールドワークにおける一考察

 本事業の研究代表者高柳妙子、研究協力者池田直人の共著論文が、ケニア・マサイにおける思春期女子の月経衛生管理(MHM)に関するフィールドワークにおける一考察というタイトルで、国際保健医療40巻4号p.177-180に掲載されました。

同論文の要旨は以下の通りです。

生理用品へのアクセスは、思春期女子と若い女性(Adolescent Girls and Young Women、以下、「AGYW」という)の健康増進につながる。適切な月経衛生管理(Menstrual Hygiene Management、以下、「MHM」という)は、裕福な国では当然のこととされているが、資源の乏しい国では、MHMの不備が少女と女性の重大な問題となっており、AGYWの健康と発達に悪影響を及ぼしている。ケニアでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックにおいて、生理用品へのアクセスが悪化しており、その原因として経済的な理由があることが明らかとなっている。本研究では、ケニア・マサイが多く住むコミュニティにおけるフィールド訪問による観察記録から生理用品へのアクセスと利用状況および使用済み生理用品の廃棄法について明らかにした。

生殖年齢の女性にとって自然で健康なプロセスである月経に関して多くの研究が存在するが、本報告では、MHM、教育、政策に焦点を起き、ケニア農村部の現状と課題を探っていく。





南アジアにおける障害と開発:インド・パキスタン・バングラデシュの比較から

1. はじめに:なぜ今、南アジアの障害情報なのか

2014年の日本による国連障害者権利条約(CRPD)批准以降、国際協力における「障害主流化」の重要性は一層高まっている 。JICAは2020年に各国の障害関連情報のアップデートを実施したが、本稿では研究協力者池田氏が担当したインド、パキスタン、バングラデシュの3か国に焦点を当てる 。これら3国は旧英領インド帝国の法制度を継承しており、制度的な共通点が多い一方で、近年の障害者権利の進展には国ごとの特色が見られる。

2. 障害の定義と統計:可視化される課題

各国の最新の障害者法(バングラデシュ:2013年、インド:2016年、パキスタン:2020年)における障害の定義は、いずれもCRPDの考え方を踏襲しており、機能障害と社会的・環境的障壁の相互作用に着目している

統計上の障害者人口比率は以下の通りである


パキスタンやバングラデシュで比率が高い背景には、近年の調査手法の変化や、女性の障害者人口が男性を上回る傾向(パキスタン:女性8.65%に対し男性7.01%)などが挙げられる

3. 障害者権利条約(CRPD)批准の影響

南アジア諸国は比較的早期にCRPDを批准している(インド・バングラデシュ:2007年、パキスタン:2011年) 。特にパキスタンでは、2010年の憲法改正による地方分権化と、2011年のCRPD批准が同時期に重なった 。これにより、連邦政府に独立した「人権省」が設置され、障害者法を含む人権関連の立法が加速した点は注目に値する

また、司法の場でも変化が見られる。パキスタンでは2013年以降、障害当事者による申し立てを受け、最高裁が公文書での蔑称禁止(2017年)や、精神障害のある服役者への死刑禁止(2021年)を命じるなど、人権保障に向けた司法の役割が強まっている

南アジア諸国のCRPDの署名年と批准年

4. 教育・保健分野の現状とインクルーシブ教育の遅れ

教育分野では、各国とも国家教育政策の中でインクルーシブ教育(IE)への言及を始めている 。しかし、パキスタンにおいては依然として社会福祉関連部局が所管する「特殊教育」が主流であり、通常教育への統合はNGOによるモデル事業にとどまるケースが多い 。政府報告(2019年)においても、IEの実現は途上国では困難であるとの認識が一部に見られ、他国に比べた遅れが指摘されている

保健分野では、パキスタンの「Lady Health Worker(LHW)」による地域レベルの保健活動や、インドの「全国農村保健事業」を通じた早期発見・療育プログラムなど、草の根のネットワークを活用した取り組みが展開されている

インド、パキスタン、バングラデシュの保健・医療・リハビリテーションの制度・政策


5. 新型コロナウイルスがもたらした影響

2021年までの状況として、パンデミックは障害者に深刻な影響を及ぼした

  • インド: 障害者手帳(UDID)不所持者が現金給付を受けられない等の課題が発生した

  • パキスタン: 移動制限による生活必需品へのアクセス困難や、家庭内暴力の増加が報告された

  • 共通課題: オンライン教育や情報提供におけるアクセシビリティの欠如、寄宿舎にいた障害児の帰宅問題などが顕在化した
6. おわりに:障害者運動と国際協力

CRPD第33条が規定するように、障害者権利の実施と監視には「市民社会、特に障害当事者団体(OPDs)」の参画が不可欠である 。インドと比較して、パキスタンやバングラデシュではDPOの政策決定プロセスへの参加が依然として不十分であるとの指摘もある 。今後の国際協力においては、インフラ整備だけでなく、OPDsの能力強化や人権擁護のノウハウ提供といったソフト面の支援がさらに重要となるであろう。 


パキスタンにおける感染症:結核

パキスタンにおける結核関連情報

(2024年3月〜2026年3月のメディア報道の情報をもとに) 


1. 概要

パキスタンは世界でも有数の結核高負荷国(High-burden countries)の一つである。劣悪な衛生環境や飲料水の汚染、頻発する自然災害が、結核を含む感染症が深刻な課題となっている背景にある。特に、既存の薬が効きにくい「多剤耐性結核(MDR-TB)」の増加が大きな懸念材料となっている。


2. 感染者数の推移と背景

具体的な年度別の数値推移に関する情報はないが、感染拡大を助長する要因として以下の点が挙げられる。

医療・衛生インフラの課題: 多くの地域で安全な飲み水や適切な下水処理施設が不足しており、これが感染症全般の蔓延を招いている。

供給網の混乱: 経済状況の悪化やサプライチェーンの混乱により、結核治療に不可欠な治療薬やワクチンの供給が不安定になる局面がある。

自然災害の影響: 2022年の大洪水では数千の医療施設が被害を受け、結核を含む感染症対策に壊滅的な打撃を与えた。


3. 地理的な違いと地域特性

地理的な詳細データは限定的だが、環境要因によるリスクの差が示唆されている。

洪水被災地: 洪水後の水たまりや不衛生な生活環境が続く地域では、抵抗力の低下や過密な避難生活により、感染症のリスクが顕著に高まっている。

都市部と地方部: 都市部ではデング熱などの蚊媒介感染症が目立つ一方、衛生設備が根本的に不足している農村部や低湿地においても、結核を含む慢性的な感染症の抑制が困難な状況にある。


4. 子どもの感染状況と関連する保健環境

子どもに特化した結核の症例数は資料に明記されていないが、子どもの健康を取り巻く深刻な環境が報告されている。

児童婚の影響: 連邦憲法裁判所の判断により、未成年者の結婚は罰則の対象となるものの、法的には有効とされる。低年齢での結婚・出産は、母体および乳幼児の健康を損なう要因となり、結核などの感染症に対する脆弱性を高める一因となる。

基礎疾患と栄養: 衛生環境の悪化に伴う水系感染症や栄養不足が常態化しており、これらが子どもの免疫力を低下させ、結核感染のリスクを増幅させている。


5. 医療環境の課題

感染症対策を阻む構造的な問題として、以下の点が指摘されている。

医薬品の不足: 基本的な治療薬の供給が不安定な時期があり、治療の継続が困難になるリスクがある。

診断・治療の遅れ: 2022年の大洪水による医療インフラの破壊が尾を引いており、多くの患者が適切な診断や治療にアクセスできない状況が続いている。


2026年4月19日日曜日

パキスタンにおける給食および関連する食事支援の現状

 

1. 学校給食プログラムの推進と拡大

パキスタン政府および各州政府は、教育支援と児童の健康改善を目的として、学校給食プログラムの導入・拡大に注力しています。

  • パンジャーブ州の取り組み 2024年8月、パンジャーブ州のマリアム・ナワーズ州首相は、公立学校の児童を対象とした給食プログラムの一環として、無料の牛乳を提供する事業を推進しています。これは英国高等弁務官との会談においても、教育・保健分野での協力事項として確認されました。

  • 教育政策における位置づけ 2025年11月時点の概況によれば、女子教育の推進や奨学金制度と並び、学校給食の拡大が子供たちの生活に関わる重要な課題として位置づけられています。

2. 食事支援の背景と目的

給食・食事支援が行われる背景には、深刻な栄養不足や社会的不安が存在します。

  • 健康と栄養の改善 ポリオ、デング熱、HIVといった感染症の拡大や、基本的な保健医療サービスの不足に直面する中で、給食は子供たちの栄養状態を底上げするための重要な手段となっています。

  • 通学率の向上 学校で食事を提供することにより、貧困層の子供たちが学校へ通う動機付けを行い、教育へのアクセスを改善する狙いがあります。

3. 社会福祉としての食事提供(Panahgah等)

学校以外でも、困窮者を対象とした公的な食事支援が行われています。

  • 福祉施設での提供 パンジャーブ州政府などは、ホームレスや低所得者の方々が尊厳を持って食事をとれるよう、**Panahgah(避難所・福祉施設)**での食事提供を継続しています。

  • 災害時の食料配給 2022年の大規模洪水のような非常時には、被災地での食料配給が実施されています。ただし、配給現場に人々が殺到し、死者が出るなどの混乱も報告されており、安全かつ円滑な供給体制の構築が課題となっています。

4. 給食運営における課題

プログラムの実施にあたっては、経済的・社会的な障壁が複数存在します。

  • 物価高騰と経済危機 深刻なインフレにより食料品価格が高騰しており、支援プログラムの維持コストを圧迫しています。

  • インフラと治安の不安定さ 洪水による校舎の損壊や、テロなどの治安悪化、教師不足といった教育現場の不安定さが、給食を安定的かつ安全に提供する上での妨げとなっています。

  • 難民問題の影響 アフガニスタン国籍者の国外追放や難民の帰還といった社会情勢の変化も、地域レベルでの食料・教育支援の優先順位や運営に影響を及ぼしています。


なお、これらの情報は、メディアニュース(Tribune紙, Dawn紙, Jang紙, Duniya紙, ARY紙, GEO紙, Observer紙, JICA/UN機関ページ等)に掲載された記事について、本研究メンバーが該当期間に継続して収集した情報をもとに作成しています。

2026年4月16日木曜日

パキスタンの子どもたちの「健康」と「学び」を守るために:就学保障の視点から

 パキスタンは世界的に見ても乳幼児死亡率が高く、毎日約675人もの新生児が命を落としているという厳しい現実に直面しています。この課題は単なる医療の問題に留まりません。子どもたちが健やかに成長し、学校に通い続けるという「学習権」を保障するためには、教育現場での健康支援が不可欠です。

最新の文献レビューに基づき、子どもたちの生存と就学を支えるための、教育現場における「健康保障」のアプローチを探ります。

1. 就学と成長を阻む主な要因

これまでの研究では、5歳未満児の死亡および発育阻害(スターティング)の要因が大きく4つに分類されています。これらは、子どもたちが学校へ通うための体力を奪う要因でもあります。

  • 周産期要因: 出生時のケア不足は、その後の発達障害や慢性的な健康課題に繋がり、将来の就学率に影響を及ぼします。

  • 感染症: 肺炎や下痢症などは、繰り返すことで欠席率を高め、学習の継続を困難にします。背景には不衛生な生活環境があります。

  • 栄養要因: 5歳未満児死亡の約45%に関与する栄養不良は、認知機能の発達を妨げ、集中力や学習意欲の低下を招く「教育上の課題」でもあります。

  • 環境・社会要因: 深刻な大気汚染や医療へのアクセスの格差は、子どもたちの外歩きや登校そのものを困難にする物理的な障壁となっています。

2. 「健康保障」としての学校の役割

学校は知識を学ぶ場であると同時に、子どもたちが継続して教育を受けるための「健康の基盤」を整える拠点です。死因の背景をふまえると、就学を保障するために以下の3つの健康支援が重要です。

① 生活基盤としての水衛生管理(WASH)

下痢症などの感染症は、長期欠席や退学の主要な原因となります。学校に安全な飲料水と清潔なトイレを整備することは、子どもたちの登校意欲を高め、学習環境を物理的に保障することに直結します。また、学校での衛生教育が家庭に波及することで、地域全体の健康水準が向上し、次世代の就学環境も改善されます。

② 学習能力を支える栄養・健康モニタリング

栄養状態は学業成就の土台です。学校での定期的な健康診断や栄養価の高い給食の提供は、単なる空腹を満たす支援ではなく、発育阻害を抑え、授業に集中できる心身を育む「就学保障」活動です。学校を健康管理のハブ(拠点)とすることで、脆弱な家庭の子どもたちの脱落を防ぐことができます。

③ 学習機会を奪う環境リスクへの対応

パキスタンの都市部で深刻なスモッグ(大気汚染)は、肺疾患を引き起こし、多くの子どもたちから通学の機会を奪っています。学校において、大気汚染から身を守る知識を伝え、健康状態に応じた柔軟な学習形態(屋内活動の徹底など)を整えることは、いかなる環境下でも子どもの「学び」を止めないための重要な配慮となります。

3. まとめ:教育こそが「健康」と「未来」の循環を作る

多くの文献が、「母親の教育水準」が子どもの生存率、そしてその後の就学継続に最も強く相関していることを示しています。

女子教育の推進は、将来の母親が正しい保健・栄養知識を持つことへと繋がり、世代を超えて子どもたちの健康を守る「持続可能な就学保障」となります。医療インフラの整備と並行して、教育現場で「健康・栄養・学び」を一体的に守る仕組みを構築することこそが、パキスタンの子どもたちが未来を切り拓くための鍵となるはずです。

参考文献:

  • Tharwani et al. (2023) "Infant & Child Mortality in Pakistan and its Determinants"
  • Nisar et al. (2017) "Cause of death in under 5 children in a demographic surveillance site in Pakistan"
  • Zainab et al. (2025) "Undesired nexus poor health status of child under-five"
  • Dhaded et al. (2022) "The causes of preterm neonatal deaths in India and Pakistan"
  • WHO (2025), UNICEF (2024) 報告資料

パキスタンにおける感染症:デング熱

 

パキスタンにおけるデング熱流行状況と対策の概要(2024年1月〜2026年3月)

 パキスタンにおける2024年1月から2026年3月にかけてのデング熱流行状況と対策の概要を分析し、まとめると以下の通りです。

 パキスタンにおけるデング熱の流行は、パンジャーブ州、ハイバル・パフトゥンハー(KP)州、シンド州などの主要都市を中心に、年を追うごとに深刻化しています。2024年初頭の流行の兆しから始まり、同年末には都市部での爆発的な感染拡大を記録しました。2025年に入っても勢いは衰えず、モンスーン明けの再拡大を経て、2026年にかけては死者数が増加するなど、公衆衛生上の重大な脅威として定着しています。

 感染状況の特徴として、従来のような季節性の流行に留まらず、冬期を含めた通年での症例報告が常態化している点が挙げられます。特にイスラマバードやラホールといった大都市では、流行ピーク時に病院の収容能力が限界に達し、医療体制が逼迫(ひっぱく)する事態が繰り返されています。また、デング熱のみならず、マラリアや大気汚染(スモッグ)、ポリオ対策といった他の保健課題が重なり、公衆衛生全体への負荷が極めて高い状態にあります。

 政府および自治体は、監視体制の強化や「デング熱対策キャンペーン」を通じた清掃、殺虫剤散布(スプレー作業)などの物理的な防除を継続的に実施しています。特筆すべきは、標準作業手順書(SOP)に従わない施設や、ボウフラが発見された場所の所有者に対し、逮捕、罰金、建物の封鎖といった極めて厳格な法的・強制的措置を講じている点です。

 しかし、こうした行政の介入にもかかわらず、症例数は増加傾向にあり、一部の検査機関による料金規制の不遵守といった医療アクセスの不平等も顕在化しています。現状、デング熱は一時的な流行病ではなく、国家的な保健優先事項として、持続的かつ包括的な対応が不可欠な状況であるといえます。


子ども・教育の視点から見た状況

 子ども、および子どもの教育という視点で考えた場合、以下のような状況にあります。

 パキスタンにおけるデング熱の蔓延(まんえん)は、子どもの健康と教育環境に対して多層的な脅威をもたらしています。特に、都市部や農村部の学校周辺における衛生環境の悪化が、教育の継続性と子どもたちの発達に深刻な影響を及ぼしています。

1. 子どもの健康被害と教育への直接的影響

 デング熱の症例は全年齢層で増加傾向にありますが、2025年後半から2026年にかけては、マラリアや「謎の病気」の併発とともに、児童の死亡例も複数報告されています。子どもの感染は、重症化のリスクだけでなく、長期の欠席を余儀なくさせ、学習の遅れ(ラーニング・ロス)を直接的に引き起こしています。特に、イスラマバードやラーワルピンディなどの都市部では、流行期に病院の収容能力が限界に達し、適切な医療ケアへのアクセスが困難になったことも、子どもたちの健康リスクを増大させる要因となりました。

2. 教育環境における感染リスクと行政措置

 学校施設は、その構造や管理状況によって蚊の繁殖源になりやすく、子どもたちにとっての最大のリスク地点の一つとなっています。

  • 学校内の衛生管理: ボウフラ(蚊の幼虫)が発見された教育施設や商業施設に対し、行政による「建物の封鎖(シール)」や厳格な法的措置が講じられています。これは、学校が感染拡大の拠点となることを防ぐための不可欠な措置である一方、一時的な休校措置が子どもたちの学習機会を奪う結果にもつながっています。

  • 学校での啓発活動: 州政府の「デング熱対策キャンペーン」の一環として、学校単位での予防教育が行われています。水たまりの除去や蚊よけの使用、適切な服装(長袖の着用等)の指導が、子どもたちを通じて各家庭に普及する「啓発のハブ」としての役割が学校に期待されています。

3. 社会経済的要因と教育の格差

 デング熱対策における医療アクセスの不平等は、教育格差をさらに拡大させる懸念があります。

  • 検査・治療費の負担: 一部の検査機関が政府の料金規制を遵守しないなどの問題が発生しており、低所得層の子どもたちが適切な診断を受けられず、登校再開が遅れる事態が生じています。

  • 複合的な公衆衛生の脅威: 大気汚染(スモッグ)による休校措置とデング熱の流行が重なることで、子どもたちは二重の健康被害と教育の中断に直面しています。特にポリオ根絶活動など、他の保健課題とリソースを奪い合う状況が、子どものための包括的な保健サービスの質を低下させています。

4. まとめ

 子どもの視点から見たデング熱問題は、単なる公衆衛生上の課題にとどまらず、教育を受ける権利と健康に育つ権利を脅かす「教育危機」としての側面を強めています。今後は、学校施設における通年でのボウフラ駆除体制の確立と、感染や環境悪化による休校時でも学習を継続できる柔軟な教育支援体制の構築が不可欠です。


なお、これらの情報は、メディアニュース(Tribune紙, Dawn紙, Jang紙, Duniya紙, ARY紙, GEO紙, Observer紙, JICA/UN機関ページ等)に掲載された記事について、本研究メンバーが該当期間に継続して収集した情報をもとに作成しています。

障害児の親の会「カールワーン」の活動⑭:国際デー、記念日を通した啓発イベント

  パキスタンのKP州Haripurに拠点を置く、障害児の親の会Karwaanは、2026年の母の日のイベント開催を通して、障害問題の啓発、障害のある子どもたちの集う機会づくり、に取り組みました。母の日のような記念日や、国際デーはその動機づくりにもなります。イベント開催のための寄...