2026年7月5日日曜日

日本比較教育学会第62回大会@京都

立命館大学衣笠キャンパスにおいて、2026年7月3日(金)から5日(日)まで、第62回比較教育学会が開催されました。

本研究代表である高柳妙子氏(長崎大学)がラウンドテーブルの座長を務め、分担者の日下部達哉氏(広島大学)、藤崎竜一氏(帝京大学)、協力者の服部拓磨氏(広島大学博士課程)、帝京大学の下山多映氏がが登壇しました。

同学会では、10のラウンドテーブル(RT)が同時並列して行われました。全体としてどんなテーマが集まっているのか、その傾向をブログ向けに分かりやすく3つのポイントでまとめます。

1. 世界の「いま」起きている大問題に、教育でどう向き合うか?

ニュースなどで目にする世界の大問題や社会の不安に、真正面から向き合おうとする企画がたくさんありました。 例えば、カンボジアとタイの国境で起きた紛争が子どもたちの学びにどう影響しているか(RT3)、ふるさとを追われた難民や避難民の子どもたちを学校にどう迎え入れるか(RT4)といった、とても切実なテーマが並んでいます。また、中国、インド、ブラジルを舞台に「子どもの貧困」にどう立ち向かうかを考える企画(RT5)もあり、世界が直面する痛みに教育がどう関われるかを熱く議論します

2. 「これまでの当たり前」を疑ってみる、学びほぐしの挑戦

「いままでの教育のやり方や研究の進め方のままでいいの?」と、根本から問い直すユニークな企画も目立ちます。 生成AIの登場や気候変動など、激変する時代を生きるために必要な「アンラーニング(これまでの常識を学びほぐすこと)」(RT7)や、欧米中心ではない新しい視点で世界を見る「脱植民地化」(RT6)の議論がそれにあたります。さらに、いろんな国の学生たちの声をあつめて、これからの新しい「平和教育」のカタチをみんなで描こうとする試み(RT9)も、とてもワクワクする挑戦です

3. 世界の「理想(ルール)」と「現場(リアル)」のあいだを比べる

世界の国々で、教育のアイデアや新しい教科がどのようにリアルな現場で受け入れられているかを、じっくり見比べる企画です。 「子どもが主役の幼児教育」という世界的なブームがアジアやアフリカの現場でどうなっているか(RT1)、学校を飛び出して地域や伝統ともつながる理数・IT(STEAM)教育の姿(RT2)、異文化を理解するための教科書のアイデアをどう大学や先生の研修に活かすか(RT8)、そして日本でもおなじみの「総合的な学習の時間」がアジアの近隣諸国でどう進化しているか(RT10)など、世界の教育の「リアルな今」がたっぷり詰まっています

私たちのラウンドテーブルのテーマ

RT2:アジアにおける学校内外でのSTEAM教育の交差

-キルギスタン、パキスタン、日本の事例比較-






発表者への質問と回答

服部氏

質問:パキスタンの特性は何か?

回答:雇用率が低い、インフレが高い中、給与が圧倒的に低い、その中でドル払いなどで給与が支払われるのはありがたい。

下山氏

質問:この教育法が行動変容を起こすか?

回答:今後、別の実験を考えている;シミュレーション用人体人形をおいておいて、学生たちは自分たちで心臓マッサージなど、積極的に練習に取り組むかを調べる。

藤崎氏

質問:世界に出していけるエビデンスとなりうるか?

回答:伝統医療の方法がキルギスやパキスタンでは高等教育機関で教えられている、これを科学的に証明するこちにより、さらに外部へ情報を共有し、世界レベルで通用する知識となっていくのではないか。

2026年7月2日木曜日

インドネシアの子どもの権利委員会の総括所見

 今回は、国連の「子どもの権利委員会(Committee on the Rights of the Child)」が採択した、インドネシアに関する包括的所見(Concluding observations)についての文献レビューをご紹介します

この報告書は、インドネシア政府から提出された第5回および第6回の合同定期報告書を受け、2025年5月に開催された会合での審議を経て採択されたものです 。委員会は同国のこれまでの取り組みを評価しつつも、依然として残る多くの課題に対して、緊急かつ具体的な措置を講じるよう強く勧告しています

委員会が示した主要な指摘と勧告の要点は以下の通りです。

1. 法整備と実施体制の強化

子どもの権利を守るための法的・組織的な基盤について、以下の点が指摘されています

  • 国内法の整合性: 2023年刑法(Law No. 1/2023)を早急に改正し、思春期の若者が性・生殖に関する健康情報を適切に得られるよう妨げとなっている条文の撤廃や、性暴力の被害児が速やかに人工妊娠中絶にアクセスできる環境を整えることが求められています

  • 調整機能と資源配分: 女性エンパワーメント・児童保護省に十分な権限と予算を与え、分野横断的および地方レベルでの児童の権利の実施を統括させるべきだとされています 。また、社会的保護や教育、保健、水道衛生の分野へ積極的な予算配分(特に東部地域への傾斜配分)が促されています

  • 独立した監視機関: インドネシア児童保護委員会(KPAI)の権限が限定的で調査権を持たない現状が指摘され、子どもからの苦情を調査・処理できるよう機能を強化することが強く求められています

2. 一般原則(非差別、子どもの最善の利益など)

子どもたちの基本的人権を守る上での根本的な原則について、地域格差などの課題が挙げられています

  • 地域格差の we 是正: インドネシア東部地域(パプア州や東ヌサ・テンガラ州など)の子どもたちが、西部地域に比べて質の高い医療、教育、衛生、社会的サービスへのアクセスにおいて深刻な格差に直面していることに強い懸念が示され、早急な是正が促されています

  • 子どもの最善の利益: 養子縁組や親権の決定、離婚手続きにおける子どもの親権判断が、「子どもの最善の利益」ではなく、しばしば宗教や子どもの年齢を基準に判断されている現状に懸念が示されています

3. 暴力からの保護および有害な慣行の根絶

子どもを暴力や古い慣習から守るための対策も急務とされています

  • 性暴力への対応: 2022年の性暴力犯罪法(Law No. 12/2022)の完全な実施に必要な派生規則(施行令など)の未策定分を迅速に採択し、被害児の回復・社会復帰を追跡できるケースマネジメントシステム(オンライン情報システム)を強化するよう勧告されています

  • 児童婚と女性器切除(FGM): 児童婚の最低年齢が19歳に引き上げられたものの、一部の州では依然として高い割合で推移しており、婚姻免除(dispensation)の申請増加や慣習が取り組みを阻害しています 。また、医療従事者への禁止措置にもかかわらず広く行われている女性器切除を完全に根絶するため、罰則を含むロードマップを大統領令として採択することなどが求められています

4. 障害児への配慮

障害を持つ子どもたちが置かれている深刻な状況への対策も盛り込まれています

  • パスン(監禁・拘束慣行)の根絶: 1977年から禁止されているにもかかわらず、家族や地域、施設において今なお続いている「パスン(Pasung:鎖や木枠による監禁・拘束)」を完全に撲滅するため、厳格な法執行や意識改革キャンペーンを行うよう求めています

  • 脱施設化と貧困対策: 障害児の施設収容が増加している傾向に懸念が示され、家族との同居を可能にする在宅の専門的支援を提供することや、健常児に比べて高いスタウンティング(発育阻害)や貧困率に対処するため、社会的保護制度を障害に対応したものにすることが勧告されています

5. 健康、教育、および特別保護措置

子どもの日々の健康や教育、そして司法制度についても具体的な提言がなされています

  • 保健・栄養: パプア州における乳幼児や妊産婦の高い死亡率への対策や、マルク州や東ヌサ・テンガラ州など東部地域での深刻な「ウェイスティング(急性栄養不良によるやせ)」への栄養支援が求められる一方で、学齢期・思春期の子どもの肥満増加への規制も求められています

  • 教育の質と包摂: 予算全体の最低20%を教育に充てる憲法上の規定を評価しつつも、デジタル格差の解消や、障害児が主流派の学校で学べる包括的教育(インクルーシブ教育)の推進を急ぐよう提言されています

  • 司法と条約の批准: 刑事責任を問われる年齢を少なくとも14歳へと引き上げることや、児童の権利条約の「通報手続きに関する選択議定書」の批准が強く勧告されています

参考文献

  • United Nations Committee on the Rights of the Child. (2025). Concluding observations on the combined fifth and sixth periodic reports of Indonesia (CRC/C/IDN/CO/5-6*). https://undocs.org/CRC/C/IDN/CO/5-6

2026年6月28日日曜日

国際開発学会第27回春季大会@明治学院大学

  2026年6月27日に、国際開発学会第27回春季大会が明治学院大学で開催されました。本研究代表者の高柳妙子氏が座長をつとめる、ラウンドテーブルにおいて研究協力者の池田直人氏をはじめ、アジア諸国で障害児のインクルーシブ教育の実務や研究を行う、磯部陽子氏および堀場浩平氏が発表しました。



W台風が訪れたため、学会が急遽ハイブリッドになり、参加者は約16名(対面12名、オンライン4名)でしたが、様々な視点で質疑応答がなされました。

それぞれの発表は以下の通りです。

モンゴルにおける障害者の就学・就労を支えるインクルーシブ支援システム

-環境整備・啓発・制度化の実践から見えたポイントー

発表者 氏名(所属先名):磯部陽子(コーエイリサーチ&コンサルティング)

学会オンライン対応による、動画での発表。

コメント・応答など

(1) ジョブコーチの支援員が手話通訳者だが、通訳だけでなく、ジョブコーチとしての専門性が必要。また、通訳者が権限を持ってしまうのではという懸念がある。同ポジションには、ろう者の家族がつくことが多い。(JETRO森氏)➡ジョブコーチは利用者の主体性を尊重する研修を受けている。また、モンゴルではジョブコーチが単体の職業として成立するだけの手当が保障されていないため、すでに障害者支援などの職を持っている人がジョブコーチを担っているという事情がある。(堀場)



ネパールにおけるインクルーシブ教育の構造的課題

-通常学級における知的障害児の「実質的包摂」の再検討-

発表者 氏名(所属先名):堀場浩平(国際開発センター、広島大学博士課程)

コメント・応答など

(1) 堀場発表はインクルーシブ教育がストレートには適用できないという主張であり、池田発表は当事者の声だけでなく保護者の声を重視するというものであり、障害学に対する逆説の部分がある。現場では理屈どおりに機能せず、正論である。障害児それぞれの特性に応じてカスタマイズする必要がある。(APU山形氏)

(2) 当事者の問題を指摘したい。教員に障害当事者が含まれていないことを懸念する。ろう児が聴児のみの学級で学ぶことで同じ障害のある児童との機会を失ってしまう。(JETRO森氏)➡発表では割愛したが、事例紹介した学校のうち、難聴の女児のいる学級にはほかにも聴覚障害のある児童が在籍している。また別の事例の学校では、リソースクラスの教員が下肢障害を有している。インクルーシブ教育の妥当性を検討するうえで当事者の問題も重視したい。(堀場)

(3) 西側の理屈で作られている面があるインクルーシブ教育を、別の土壌に持ち込むことに無理があるのではないか。また、インクルーシブ教育が対象としているのは通学できている障害児であり、通学すること自体に困難を抱えている児童もいるのではないか。(山口大麻田氏)➡指摘のとおりだと考える。そうした面を含めて途上国におけるインクルーシブ教育を批判的に捉えなおしたい。(堀場)



●パキスタンにおける インクルーシブ教育推進と保護者の役割

ー障害児の「親の会」への期待と参画に関する事例研究ー

発表者 氏名(所属先名):池田直人(押鐘サイエンスラボ、難民を助ける会)

コメント・応答など

(1) 主体性における、障害児の親という視点の重要性に考えさせられた。(APU山形氏)

(2) 障害者権利条約のパラレルレポートの提出がゼロであることに驚いたとともに、同レポート提出にかかる強化の必要性を感じた。(JETRO森氏)

(3) 様々な障害のある子どもたちの集いについて不思議に感じた。同じ障害のある子どもたちで集まることが大切なのでは?(JETRO森氏)➡ろう学校・児童生徒・保護者とのつなぎ、ろう者団体とのつなぎなども取り組みもあったがうまくいっていない。現状では、障害のある子どもたちというよりも、保護者(母親)の主体性が全面に出ている集いが企画されている。(池田)

(4) セッション終了後の個別議論:障害者の親という視点は、親のレスパイトケアにも深く関連するテーマ。(日本福祉大小國氏)➡レスパイトケアという制度が作れないような国・地域において、非公式な親の会は、自然なレスパイトケアの場となる。(池田)

(5) セッション終了後の個別議論:障害児の親の会へのNGO事業の関与は?(慶応大川口氏)➡NGOのファシリテーションによって、親たちが自ら立ち上げた会であり、NGOとして登録手続きも進んでいる。障害児の親同氏の繋がりは、(限局性学習障害のある子をもつ池田は)身をもって重要と感じている。(池田)


セッションの総括
今回の発表者3名は、実務者としての経験を如何に研究、そして、今後の国際開発事業に貢献できるかという視点で発表がなされ、これに関する有意義な質疑応答と議論が交わされた。

特に、ろう者であり、研究及び実務面で、障害と開発における貢献者である森壮也氏(JETROアジ研)からは、障害当事者の視点で鋭い質問及びコメントがなされた。また、山形辰史氏(APU)浅田玲氏(山口大)からは、インクルーシブ教育の逆説や批判にかかるコメントがなされ、低中所得国におけるインクルーシブ教育を再考する機会が得られた。

セッション及びセッション後の参加者との議論を踏まえると、インクルーシブ教育というテーマでの研究は今後も継続して進めていくべきだと考えている。

2026年6月23日火曜日

スクールバッグの重さ制限:パキスタンKP州、インド、UAEの事例

  今回は、学校安全に深く関係するスクールバッグの重さの規定を紹介します。

パキスタンKP州では、スクールバッグの重さの制限を規定する法律「THE KHYBER PAKHTUNKHWA SCHOOL BAGS (LIMITATION OF WEIGHT) ACT, 2020 (KHYBER PAKHTUNKHWA ACT NO. XLVII OF 2020)」が制定されています。

同様の法律は、隣国インドにおいても同じ2020年に「School Bag Policy, 2020」という名称で策定されています。同政策では、以下のような記述があります。

「子どもや青少年の姿勢の悪さや腰痛の問題は、インド国内外で注目を集めている。科学誌でも頻繁に取り上げられている。以下に、いくつかの論文からの抜粋を挙げる。「通学中の児童における腰痛の一般的な原因の一つが通学カバンである。重いカバンを背負うと、子どもは体を前に傾けてバランスを取ろうとするが、これにより首、肩、背中の筋肉に負担がかかる。また、カバンの着脱が困難になったり、学校でカバンを背負ったまま頻繁に転倒したりすることもある」 (R. Avantika 他, 2013)  7歳から8歳の時期には、後弯姿勢やバランスの取れた姿勢が主流となる。しかし、子供が学校に通い始めると、座っている時間が長くなり、姿勢形成の障害につながる可能性がある。したがって、この時期は「姿勢形成の最初の臨界期」と呼ばれている(Katarzyna Walicka-Cupry 他、2015年)。さまざまな国際機関が、体重に対するランドセルの重さについて、時折推奨を行ってきた。例えば、2009年には、米国作業療法士協会(AOTA)と米国理学療法士協会(APTA)が、生徒の体重の15%(あるいは10%から20%の間)を超える重さのリュックサックを背負わないよう推奨した。さらに2012年には、これが体重の10%に変更された。米国カイロプラクティック協会(ACA)は、リュックサックの重量を子どもの体重の5~10%以内に抑えるよう推奨している。(Katarzyna Walicka-Cupryś, 2015)

Katarzyna Walicka-Cuprys, Renata SkalskaIzdebska, Maciej Rachwa B, and Aleksandra Truszczy Nska. 2015. Influence of the Weight of a School Backpack on Spinal Curvature in the Sagittal Plane of Seven-Year-Old Children, Research Article, Hindawi Publishing Corporation, BioMed Research International Volume, 2005.」

また、アラブ首長国連邦(UAE)にも同様の取り組みが、2024年策定の「SCHOOL POLICY on HEALTH AND SAFETY」 において規定されています。以下の、表2はUAEの規定です。


パキスタンKP州では、以下の表の通り、学年ごとに非常に細かい重さ制限が規定されていることがあわかります。





2026年6月22日月曜日

パキスタン児童労働調査(2026)

 今回の記事では、UNICEFとパキスタンの国家人権委員会(National Commission for Human Rights:NCHR)が今年2026年に発行した児童労働調査(Pakistan: Child Labour Surveys Evidence for Action) について、学校安全という視点での記述に着目します。

以下は、同報告書の原文をそのまま掲載しています。

2026年6月18日木曜日

パキスタン経済白書2025-2026から見る「子どもの健康」

 近年、開発途上国における保健・栄養セクターの動向は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成において重要な焦点となっています。今回は、最新の「パキスタン経済白書 2025-2026(Pakistan Economic Survey 2025-2026)」から、特に「子どもの健康」に着目した重要なデータと取り組みについて解説します

パキスタンにおける子どもの健康をめぐる状況は、予防接種の普及、栄養改善の多角的アプローチ、そして法的保護の強化という3つの側面から、大きな進展を見せています

1. 予防接種の拡大と死亡率の低下

近年のパキスタンにおける健康・栄養セクターの最も顕著な成果の一つが、予防接種率の向上です

  • 予防接種率(Immunization coverage)の上昇: 近年、予防接種率は73%にまで上昇しました

  • 死亡率の低下: 予防接種の拡大に伴い、生命の危機に瀕しやすい新生児死亡率(Neonatal mortality rate)および乳児死亡率(Infant mortality rate)の低下という明確な成果が見られています

基礎的な医療アクセスの改善が、子どもの生存率の向上に直結していることがデータから伺えます

2. 多角的な「母子栄養サービス」の強化

子どもたちの健やかな成長を阻む大きな課題である「発育阻害(Stunting)」、微量栄養素の欠乏、そして食料不安に対し、パキスタン政府は複数のセクターが連動した強力な栄養プログラムを継続しています

連邦政府主導の具体的なプログラムとしては、以下のようなイニシアチブが強化されています

  • ベナジール・ナショヌマ・プログラム(Benazir Nashonuma Programme)

  • 国家マルチセクター栄養プログラム(National Multisectoral Nutrition Programme)

  • SOPRANイニシアチブ

  • パキスタン・韓国栄養センター(Pak-Korea Nutrition Center)

これらの政府プログラムを通じて、母子栄養サービス(Maternal and child nutrition services)の拡充、貧血削減へのアプローチ、さらには家庭への栄養意識の向上が図られています

また、この取り組みは中央政府にとどまらず、各州政府においても以下のような包括的なプログラムとして実施されています

  • 母子保健(Maternal and child health)の推進

  • 学校給食(School feeding)の提供

  • WASH(水・衛生)環境の整備

医療・食料・衛生環境を一体として捉えた、栄養に配慮した幅広いアプローチが展開されている点が特徴です

3. 法的セーフガード:児童婚の規制による人権・健康保護

子どもの健康と福祉を守るためには、医療面からのアプローチだけでなく、社会的・法的な保護が不可欠です。パキスタン政府は人権保護および法的なセーフガードを強化する一環として、大きな法整備を行いました

  • 「2025年 首都圏児童婚規制法(ICT Child Marriage Restraint Act 2025)」の制定

児童婚は、特に少女たちの早期の妊娠・出産による健康被害や、社会的権利の剥奪に直結する深刻な課題です。この法制化により、子どもの福祉や権利を守るための制度的メカニズムがより強固なものとなりました

まとめ

パキスタン経済白書2025-2026が示す「子どもの健康」に関する動向は、予防接種という直接的な医療介入(73%への上昇)から、多セクター連携による栄養改善、そして児童婚規制法という法的なアプローチに至るまで、包括的な前進を示しています

一方で、これらの政策が国内の全地域、特に農村部や困窮層にどこまで浸透しているか、また発育阻害の具体的な減少率など、今後の詳細な評価や進捗が注目されます。

日本比較教育学会第62回大会@京都

立命館大学衣笠キャンパスにおいて、2026年7月3日(金)から5日(日)まで、 第62回比較教育学会 が開催されました。 本研究代表である 高柳妙子 氏(長崎大学)がラウンドテーブルの座長を務め、分担者の 日下部達哉 氏(広島大学)、 藤崎竜一 氏(帝京大学)、協力者の 服部拓磨...