2026年2月7日土曜日

障害児の親の会「カールワーン」の活動⑥:「難民を助ける会(AAR)」の事業支援

  難民を助ける会が実施するインクルーシブ教育促進事業においては、障害児のいる家庭を見つけ出し、訪問する活動が含まれています。単に調査をするだけでなく、彼らによりそい、相談を受け、教育だけでなく、保健医療や福祉等に関する政府・非政府機関とのつなぐという重要な活動です。

こういった活動は、障害児の親たちで構成されているカールワーンだからこそ、可能であり、コミュニティの障害児のいる家庭にも受け入れられています。国連障害者の権利条約(UNCRPD)のスローガンである、「Nothing about us without us」にもつながる活動と言えます。






2026年2月6日金曜日

障害児の親の会「カールワーン」の活動⑤:「難民を助ける会(AAR)」との連携

 カールワーンは、日本の難民を助ける会(AAR Japan)によって2020年から実施されている、障害児のインクルーシブ教育促進事業の活動によって、自助グループとして設立・強化されてきました。現在は、AAR事業の中で開催される各種研修に、ファシリテーター、トレーナーとして、また、アウトリーチ活動ではフィールドワークの支援者として、カールワーンメンバーが活躍しています。

イスラマバードに拠点を置く障害当事者団体(Saaya Association)のリーダーであるAsim Zafarさんがメインファシリテーターとして、AAR事業に招待されました。
同研修には、カールワーンメンバーがサポーター、話題提供者という形で関与しています。このような取り組みにより、AAR事業にもカールワーンメンバーにも知識、経験が共有され、Win-Winな関係になっています。
コミュニティの障害者を主な対象とした研修
研修に参加したカールワーンメンバーの子ども




2026年2月5日木曜日

障害児の親の会「カールワーン」の活動④:個別の支援、政府サービスとのつなぎ

カールワーンの活動には、障害児と親への個別の支援も含まれています。

以下に具体的な支援について紹介します。

彼女は脊柱二分脊椎による身体障害があり、時々足や脚に感染症を起こし、膿が出ます。カールワーンには子どもをフルサポートするほど資金がありませんが、親の会としてできることは、子どもの母親に政府の健康カード(Sehat Card)について知らせ、その作成方法を指導することで、子供が政府のどの医療機関でも治療を受けられるようにすることです。

二分脊椎は、お腹の中にいる赤ちゃんの脊椎(背骨)が形成される過程で、本来なら閉じるはずの骨管の一部が完全に閉じきらず、背骨が二股に分かれた状態になってしまう先天性の疾患です。

背骨の中を通る神経(脊髄)が外に飛び出したり、損傷を受けたりすることで、神経の麻痺やさまざまな合併症を引き起こします。


神経が損傷を受ける部位(背中、腰、仙骨など)によって症状の重さは異なりますが、一般的に以下のような症状が見られます。

  • 運動機能の障害: 足に力が入らない、歩行が困難になるなどの下肢麻痺。

  • 排泄機能の障害: 尿意や便意を感じにくかったり、自力で排出できなかったりする(神経因性膀胱・直腸)。

  • 知覚障害: 足や腰周りの感覚が鈍く、痛みや熱さを感じにくい。

  • 脳の合併症: 脳脊髄液が溜まる「水頭症」や、小脳の一部が脊柱管へ落ち込む「キアリ奇形」を伴うことがあります。


2026年2月4日水曜日

障害児の親の会「カールワーン」の活動③:啓発活動

 

カールワーンには、コミュニティ内で多くの活動や啓発イベントを開催する自助グループ活動があります。これらのイベントは、人々が問題を理解し、インクルージョンを促進するのに役立ちます。その後、コミュニティは協力して解決策を見つけます。

カールワーン主要メンバーと子どもたち
障害の有無に関わらず子どもの母親たちを対象とした啓発イベント

これは啓発イベントでもありますが、イベント参加者の中に、自宅のバスルームが利用できず、洗面所の使用に深刻な困難を抱えている少女が2人いました。カールワーンは地元のコミュニティメンバーと協力して資金を集め、少女たちが問題なく簡単に洗面所を利用できるように、洗面所用の椅子を提供しました。

啓発イベントの様子
カールワーン代表がファシリテーターとして活躍


2026年2月3日火曜日

障害児の親の会「カールワーン」の活動②:啓発とファンドレイジング

 ハリプール大学で文化プログラムが開催され、様々なブースが並び、カールワーンも出店しました。ブースの目的は、資金集めと障害に関する意識向上でした。

大学生、大学教職員、訪問した一般の人々への個別の啓発活動
軽食の販売や写真の展示を行った
大学側からサーティフィケートが出された

パキスタンで活動する障害当事者団体の中には、大学と連携して、学生ボランティア派遣や大学生のインターンシッププログラムのように、大学にとっては学生の学びの促進、障害当事者団体にとってはボランティアによる支援促進、という関係性を作っているケースが見られます。さらに、大学側での、障害学など様々な研究が進む可能性もあります。将来を担う若者を対象とした障害啓発、研究、そしてなにより、このような活動を通した、人と人を繋ぐネットワークは、障害児の教育にとどまらず、障害者運動に大きく貢献していくと考えます。




2026年2月2日月曜日

障害児の親の会「カールワーン」の活動①:ワークショップ

これまで、 障害児の親の役割の重要性について投稿してきましたが、今回は、パキスタン北西部に位置するハイバル・パフトゥンハー(KP)州のハリプールで活躍するカールワーン(Karwaan)の活動について、今後数回に渡ってご紹介します。

このイベントでカルワーンは、16歳以上の障害を持つ地域の少女たちを招待しました。そこでは、基本的な問題が特定され、自己管理について議論が行われました。障害を持つ少女たちは、日常生活の課題に対処し、解決するためのより簡単な方法を知ることができました。

女性障害者リーダーによるワークショップ

カールワーン代表のスピーチ

イベントのグループ写真

道すがら、カールワーンメンバーはある女性に出会いました。その女性は二人の娘がいて、一人は制服を着ていて、もう一人は障害(ダウン症)がありました。メンバーは彼女に、一人の娘は制服を着せて学校に通わせているのに、なぜもう一人は家にいるのか聞いて、もう一方の子どもも学校に通わせるよう勧めました。





2026年2月1日日曜日

アジア・アフリカの障害児支援:教育と健康を支える「家族の力」と「新しいつながり」

 アジアやアフリカの国々では、多くの子どもたちが厳しい環境の中で生活していますが、特に障害を持つ子どもたちにとって、学校に通うこと(就学)や心身の健康を維持することは、依然として大きな壁に阻まれています。

今回の記事では、最新の文献レビューや調査結果をもとに、子どもたちの就学と健康を保障するために、「家族」がどのような役割を果たし、どのような変化が求められているのかを探っていきます。

1. 就学と健康を阻む「目に見えない壁」

アジア・アフリカ地域には、世界の約半数の障害児が暮らしているとされていますが、その多くが教育や医療、適切な栄養、そして暴力からの保護という基本的な権利を十分に享受できていません。

  • アクセスの困難さ: アフリカなどでは医療従事者の不足や、病院・学校までの物理的な距離、医療費の負担が大きな障壁となっています。

  • 栄養と感染症: 多くの子供たちが栄養不良や感染症の危険にさらされており、適切な食糧支援や衛生環境の改善が、教育を受けるための「前提条件」としての健康を支える鍵となります。

  • 社会的な偏見: 障害に対する「恥」や「迷信」から、親が子どもを外に出さず、教育の機会を奪ってしまうケースも少なくありません。

2. 「犠牲者」から「変革の主体」へ:親の役割の変化

こうした厳しい状況を変える原動力となっているのが、保護者による集団の力(ペアレント・パワー)です。

  • 教育の土台作り: 障害者本人が声を上げるのが難しい地域でも、親たちが行政や学校に働きかけ、教育や福祉の制度を作るための土台を築いてきました。

  • アドボカシー(権利擁護)の進化: 自分の子どものサービスを求める「個人的な活動」から、地域全体の教育システムを改善しようとする「システム的な活動」へと、親たちの活動は発展しています。

  • 社会モデルへの転換: 障害を「治すべき病気(医学モデル)」と捉えるのではなく、社会の側の仕組みを改善すべきという「社会モデル」を学び、社会変革を目指す親たちが増えています。



3. 家族を支える「ピア・サポート」と「レジリエンス」

障害児の健康と学びを支えるためには、ケアの担い手である家族自身の健康と精神的な安定が不可欠です。

  • 孤立を防ぐ家族会: 同じ悩みを持つ親同士が支え合う「ピア・サポート」は、精神的な安定に大きく寄与し、家族が困難を乗り越える力(レジリエンス)を高めます。

  • 多職種との連携: 家族会は、医師や教師などの専門家と対等なパートナーとして対話するための窓口となり、子ども一人ひとりに最適な支援を届ける役割を果たしています。

4. これからの展望:インクルーシブな未来に向けて

これからのアジア・アフリカにおける支援は、単に「助けてもらう」段階から、地域全体で子どもを育む「新しいつながり」を作る段階へと進む必要があります。

  • 多様な家族への配慮: 経済的に困窮している家庭や、孤立しやすい父親の参加を促すなど、より支援が届きにくい層へのアプローチが求められています。

  • パートナーとしての関係: 親は子どもの「代弁者」としてだけでなく、子ども自身が主体的に声を上げられるようサポートし、共に社会を変えていく「同盟者(アライ)」であることが期待されています。




まとめ

障害があっても、「この子がいてくれて良かった」と胸を張って言える社会。それは、親たちが団結し、地域と柔軟につながりながら、教育と健康という当たり前の権利を勝ち取っていくプロセスそのものです。子どもたちの健康を守り、学びを支える挑戦は、今も世界中で続いています。

障害児の親の会「カールワーン」の活動⑥:「難民を助ける会(AAR)」の事業支援

  難民を助ける会が実施するインクルーシブ教育促進事業においては、障害児のいる家庭を見つけ出し、訪問する活動が含まれています。単に調査をするだけでなく、彼らによりそい、相談を受け、教育だけでなく、保健医療や福祉等に関する政府・非政府機関とのつなぐという重要な活動です。 こういった...