1. はじめに:なぜ今、南アジアの障害情報なのか
2014年の日本による国連障害者権利条約(CRPD)批准以降、国際協力における「障害主流化」の重要性は一層高まっている
2. 障害の定義と統計:可視化される課題
各国の最新の障害者法(バングラデシュ:2013年、インド:2016年、パキスタン:2020年)における障害の定義は、いずれもCRPDの考え方を踏襲しており、機能障害と社会的・環境的障壁の相互作用に着目している
統計上の障害者人口比率は以下の通りである
パキスタンやバングラデシュで比率が高い背景には、近年の調査手法の変化や、女性の障害者人口が男性を上回る傾向(パキスタン:女性8.65%に対し男性7.01%)などが挙げられる
3. 障害者権利条約(CRPD)批准の影響
南アジア諸国は比較的早期にCRPDを批准している(インド・バングラデシュ:2007年、パキスタン:2011年)
また、司法の場でも変化が見られる。パキスタンでは2013年以降、障害当事者による申し立てを受け、最高裁が公文書での蔑称禁止(2017年)や、精神障害のある服役者への死刑禁止(2021年)を命じるなど、人権保障に向けた司法の役割が強まっている
4. 教育・保健分野の現状とインクルーシブ教育の遅れ
教育分野では、各国とも国家教育政策の中でインクルーシブ教育(IE)への言及を始めている
保健分野では、パキスタンの「Lady Health Worker(LHW)」による地域レベルの保健活動や、インドの「全国農村保健事業」を通じた早期発見・療育プログラムなど、草の根のネットワークを活用した取り組みが展開されている
5. 新型コロナウイルスがもたらした影響
2021年までの状況として、パンデミックは障害者に深刻な影響を及ぼした
インド: 障害者手帳(UDID)不所持者が現金給付を受けられない等の課題が発生した
パキスタン: 移動制限による生活必需品へのアクセス困難や、家庭内暴力の増加が報告された
。 - 共通課題: オンライン教育や情報提供におけるアクセシビリティの欠如、寄宿舎にいた障害児の帰宅問題などが顕在化した
。
CRPD第33条が規定するように、障害者権利の実施と監視には「市民社会、特に障害当事者団体(OPDs)」の参画が不可欠である
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